夏本番を迎え暑さも本格化してきました。
真夏といえば、必ずといって良いほど話題になるのが「省エネ(eco)」ですね。
節約しながら快適に暮らすためにはどうしたらよいのか。
この時期は家電各社も競いあって家電の買い替による節税効果について熱い戦いを見せます。家電のプロ曰く、買い替えだけでなく、使い方にも気配りすることがecoに繋がるとのこと。
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さて、先日以下のようなご相談を頂きました。
最近、母親を亡くしたAさん。
たった一人の兄弟であるお兄様から「自分が母親の遺産の全てを相続すると書かれた公正証書遺言があるから、全財産は自分のものだ」と言われてしまったそうです。
法定相続人はお兄様とAさんの2人です。
Aさんは、遺産をもらうことはできないのでしょうか。
いいえ。
Aさんには、遺産についての「遺留分」があります。
遺留分とは一定の相続人に法律上必ず確保された最低限度の相続財産です。
遺留分を主張できるのは法定相続人のうち、
①配偶者
②子供
③孫
④父母
⑤祖父母 です。
兄弟姉妹には遺留分はありません。
ということは、Aさんとお兄様お2人には遺留分があるのです。
法定相続分と遺留分の具体的な例は表の通りです。
お兄様が母親の遺言を根拠に全財産を相続した場合は、お兄様はAさんの遺留分を侵害したことになります。
このような場合、Aさんはお兄様に対して遺留分に相当する遺産を取り戻すこと(遺留分減殺請求)ができるのです。
ただし、権利の行使は「遺留分侵害と減殺できることを知った時から1年間に限る」ので注意が必要です。また、知らずに10年間経っても権利は消滅します。
仮にお兄様が
「これまで母親の介護と生活費を負担してきたのは自分だから、全財産を相続するのは当然だ!!」と主張してきても、Aさんはお兄様に対して遺留分減殺請求ができます。
遺留分の算定をする際に対象となる財産の価額は、被相続人が相続開始の時において有していた価額に特別受益の価額等を加算したものとなりますが、寄与分を控除するという規定は民法上ありません。
したがって、相続財産について特別の寄与をした者が被相続人から遺贈を受けた場合に、遺留分減殺請求訴訟において寄与分を主張することはできないとするのが通説です。
特別の寄与をしたからこそその者は被相続人から遺贈を受けたわけですから、そこに更に寄与分を上乗せする必要はないと考えられているのでしょう。
よって、もしAさんが遺留分減殺請求訴訟を提起した場合、お兄様が訴訟手続の中で寄与分があると反論することはできない可能性が高いと言えます(=Aさんの勝ち)。
なお、仮に母親が認知症などで遺言能力がなかったと遺言無効確認訴訟等の中で裁判所に判断された場合には、遺言自体が無効となります。
ご両親が残してくれた遺産と血の繋がった兄弟。
もう一度よく話し合って欲しいと思います。