平成25年9月4日、婚外子の相続分を婚内子の半分とする民法の規定を「違憲」とする最高裁判決が下されました。
今までは、婚内子Aと婚外子Bの二人が相続人の場合、それぞれの法定相続分はAが3分の2、Bが3分の1となっており、婚外子であるBの相続分はAの半分と定められていました。
この最高裁判決は、今後行われる遺産分割に大きな影響を及ぼすことは間違いないでしょう。
また、婚外子がいる場合の相続税の計算にも影響を及ぼします。
平成25年9月5日以後、申告又は処分により相続税額を確定する場合は、「嫡出でない子(婚外子)の相続分は、嫡出である子(婚内子)の相続分の2分の1」とする民法の規定がないものとして相続税額を計算することとされたのです。
なお、この取扱いに係る留意事項は、次のとおりです。
1.平成25年9月4日以前に相続税額が確定している場合
婚外子の法定相続分を婚内子の半分として相続税額の計算を行っていることだけを理由に相続税の計算をやり直して還付請求を行うことはできません。
2.平成25年9月5日以後に相続税額が確定する場合
(1)平成25年9月4日以前に確定していた相続税額が異動する場合
財産の申告漏れ、評価誤りなどの理由により、還付請求や修正申告書を提出する場合又は未分割だった財産が分割されて更正の請求をする場合などは、婚外子も婚内子と同じ法定相続分があるものとして更正の請求又は修正申告に係る相続税額を計算します。
(2)平成25年9月5日以後に新たに相続税額が確定する場合
平成25年9月5日以後に、相続税の申告書を提出する場合にも、婚外子は婚内子と同じ法定相続分があるものとして、相続税額を計算します。
つまり、 最高裁判決(平成25年9月4日)以前に相続税の申告や、遺産分割が終了している場合、基本的にはやり直しはできないということです。
では、相続税額への影響をみてみましょう。
例えば法定相続人が婚外子と婚内子の二人で、課税遺産総額が2億円の場合では最高裁判決の日より後の相続税の総額の方が現行の税率で300万円以上安くなるという計算になります。
これは、相続税が累進税率であることゆえに生じる差額であり、課税遺産総額を、3分の2と3分の1ずつに分けた場合と2分の1ずつに分けた場合の税率が同じであれば相続税額に差額は生じません。
最高裁判決を受けての民法改正はまだ行われていませんが、国税庁は上記のような見解を示しました。
今後の対応も要注目です。