生命保険は分割対策・納税対策・節税対策どれにも有効な、相続対策のいわば「万能選手」と言われています。しかし、入り方をひとつ間違うと「こんなはずではなかったのに・・・」となりがちなものでもあるのです。
今回は、生命保険を相続対策に使う場合に注意すべき点として、「保険の種類」にスポットを当ててみたいと思います。
定期保険:
定期保険は、「期間に定めのある保険」のことです。よって、期間が終了すると、保険としてはまったく効力がなくなります。例えば「相続税の非課税枠」分の生命保険を確保していたつもりだったのに、保険種類をよくみるとなんと「定期保険」。いざというときに保険が切れていたということはよくあるお話です。また、「終身保険」と銘打った保険でも、死亡保険金の大部分が「定期の特約」に偏っている例も多く見られます。
(具体例)
定期特約付終身保険
主契約:終身(一生涯) 死亡保険金100万円
特 約:定期(80歳まで) 死亡保険金1400万円
このような場合、80歳までは死亡保険金は1500万円あります。しかし、81歳になると特約部分はなくなってしまうので、たった100万円の死亡保険に変わってしまいます。
上記のような保険の形は、とても典型的かつ主流とも言えるもので、けっして珍しいケースではありません。一度ご確認をおススメします。
養老保険:
養老保険は、期間内にもしものことがあった場合は死亡保険金が、無事に満期を迎えられた場合はそれと同額の満期返戻金が出る保険のことです。
こちらも定期保険と同じく、期間の定めのある生命保険です。
ですので、期間内は「相続税の非課税枠」の活用になっていても、満期返戻金を受け取ると、それは全額相続税の対象となってしまいます。満期返戻金自体は受け取るととてもうれしいものですが、相続税的には税金が増えてしまいますので注意が必要です。
また、以前に満期返戻金を受け取った記憶のある方は、「相続税の非課税枠」分の生命保険がなくなってしまった可能性がありますので、こちらも一度確認をしておきましょう。
祝い金付きの終身保険
基本的には「終身保険」ですので、解約しないかぎり保障は一生涯続きます。
その一種として、何年かごとに「健康祝い金」などの名目で一部返戻金があり、そのたびに死亡保険金額が段階的に下がり、最終的には金額の小さな生命保険になるという終身保険があります。これが「祝い金付きの終身保険」です。
こちらも養老保険と同じで、非課税枠がある生命保険がだんだんと減っていき、課税対象である現金に換わっていってしまうということになります。
よって長期的に見ると、相続税の節税対策としては不十分になることがありますので、契約内容には十分注意をしましょう。生命保険は、きちんと契約したつもりでも、その後ずっとその保障内容を覚えておくことはなかなかに難しいものです。
これを機会に、ぜひ内容の確認や見直しをしてみましょう!