リバースモーゲージという言葉を聞いたことがありますか?たぶんこれから耳にする機会が増えると思いますので、今回はその内容について詳しくご説明します。
リバースモーゲージとは、簡単に言えば「自宅を担保にお金を借りて、相続発生後に返済する」ということです。
例えば現役時代にずっと個人経営をしていて国民年金のみに加入しており、年金が受取れる年齢になっても年金額が少ないので、何とか年金を増やしたいという方。または、現役時代に自宅をローンで購入して、退職後に退職金でローン残額を払った方が、介護が必要な年齢になり老人ホームに入らないといけないけど貯金がないという方が、このリバースモーゲージという手法を使えば、その費用を用意することができます。
我が国におけるリバースモーゲージは東京都武蔵野市が1981年に導入したのが先駆けで、現在国や自治体等の公的機関が提供しているプランと民間金融機関のものとがあります。
2002年に厚生労働省が導入し、都道府県社会福祉協議会が実施している「長期生活支援資金」が、代表的な公的機関のプランです。
まずは、居住地の自治体やお近くの金融機関に相談してみてください。 まだ取り扱っていない地域や、取り扱っていない金融機関もありますので事前に確認が必要です。
金融機関は、まず自宅に抵当権が設定されていないか、自宅の土地を評価するとどのぐらいの価額になるのかを査定します。
自宅には土地と家屋とがありますが、リバースモーゲージの対象となるのは土地のみで、家屋は今のところ対象外です。(今後は分譲マンションは対象になる予定です) なぜ家屋が対象にならないかといいますと、家屋の価格は、年々評価が下がるので査定金額が出しにくいのです。
次に『借入金額』ですが、一般的には土地の査定金額の約5~7割程度のようです。また、お金を借りる際にはもちろん土地に抵当権が設定されます。
また『返済方法』ですが、さきほど相続発生後に返済と説明しましたが、それは借りた費用の元本部分になりますので、金利の返済は必要になります。金利は通常のアパートローンやリフォームローンより高くなるのが一般的です。
そして『元本の返済方法』ですが、元本は相続発生後になりますので、
①相続した子供が自宅を売却して、売却した費用の中から返済する方法と
②子供たちが自分で持っている現金で元本を返済し、自宅を相続する方法があります。どちらも選択できます。もし返済できない場合は、自宅が担保にとられていますので、直接金融機関が売却することになります。
その為、事前に公正証書遺言の作成を被相続人に依頼する金融機関が多いそうです。
普通に自宅を担保に入れて、借りた場合との違いは、元本+金利を返さずに金利のみでいいということ。あとは査定された金額までは、いつでも好きなときに借りたり返したりできるということです。
つまり査定金額が1,000万円とすれば、今月は100万円借りて、来月は20万円借りる、翌年には30万円返済して、また更に60万円新たに借りる。現在の借入残は150万円だとすると、返済しないといけない金額は、150万円の金利となります。
実例としましては、ご自身の自宅が老朽化しバリアフリー化したいのだが、その費用が出せないということで、このリバースモーゲージを活用した方がいらっしゃいました。理由としては
①現在はまとまった資金がない
②普通に自宅をローンにして借りたいと思ったが高齢ということで金融機関がお金を貸してくれない
ということでした。しかしリバースモーゲージを使えば、1,000万円借りたとして、毎月は 3.5万円の返済で済み、年金からの返済でも十分生活できるとの事でした。
もちろん貯金が十分ある方は利用しなくてもいいと思いますが、将来はこのリバースモーゲージを利用する方が増えてくる可能性もあります。
ただし、リバースモーゲージにはリスクもあります。①金利上昇による借入元利金の増加や、不動産価格の下落によって、担保割れを起こす可能性がある②長生きにより借入枠を早期に使い切ってしまう といったものです。
弊社では、こういった老後の資金計画についてもお手伝いしておりますので、いつでもご相談ください。