遺産分割で相続人の間で話がまとまらない時は、家庭裁判所の「調停」や「審判」という仕組みを利用することになります。
家庭裁判所に調停を申し立てるとまず分割対象の遺産を確定します。評価額を定めたうえで、調停委員は誰がどれだけ受け取るかを決めます。
調停委員は双方の言い分を聞いたり、提出された証拠を参考にしたりしながら落としどころを探ります。簡単に決着がつかないのが現状です。
例えば生前に親と同居していた子供と、別居していた子供との間で、親から聞いた話の内容がよく食い違ったりすることがあります。また、財産に不動産が含まれる場合は、売却したい相続人と、売却に反する相続人がいれば、売却に反する相続人は土地を受け取った後に、他の相続人に土地の代わりにお金を払う代償分割という手段が必要になってくるかもしれません。
実は調停の協議では最初から双方が疑心暗鬼になっている場合が多いようです。
また相続人の配偶者らが横から口出しして混乱することもあります。
調停は1回当たり2~3時間、月1回程度開かれ、半年から1年をかけて合意を目指すのが一般的です。ただ2年以上かかるケースもあるようで、調停に疲れてあきらめる方もいるようです。
調停案を相続人のどちらかが受け入れずにまとまらなかった場合(=調停不調)、本格的な裁判と同じような「審判」というものに移行します。
家庭裁判所の審判官が証拠などをもとに事実を認定して審判を下します。1年ほどかかることもあり、当事者にとって大きなストレスです。
審判の結果がどうなるかといえば、基本的には法定相続分通りに分割されることになります。そうなると土地は相続人の共有になるのが一般的です。
それでも双方の感情がこじれきって決着がつかず高等裁判所や最高裁判所までもつれる例もあります。
そんな遺産分割トラブルは年々増えています。
家庭裁判所に新たに持ち込まれた遺産分割調停は平成25年に1万2878件と10年前に比べて3割増えました。遺産額が5000万円以下というケースが72%と大多数を占めてます。
遺産分割の話し合いというのは相続人にとっては、とても大変であまり楽しくない仕事なのです。その争い事を避けるためには遺言書が非常に有効ですが、まぁ子供たちが仲がいいから大丈夫などで、書く必要性を感じない方も多いようです。
また遺言を作成した人でも、自筆証書遺言という手書きの遺言を書いている場合、相続人の誰かが「同居している長男に書かされたのではないか?」や「代筆ではないか?」など遺言書があることで逆にトラブルになる可能性もあります。
ということで弊社では公証役場で公証人が作成する公正証書遺言をおすすめしています。
公正証書遺言であれば、法律のプロが作成しますのでトラブルを防ぐことができます。円満な遺産分割には公正証書遺言が望ましいです。
今後、子供の立場からすると教育費や住居費などの出費が多い時期に相続が発生すれば、たとえ少ない額の財産でも貴重ですから争いを引き起こしやすいのです。
もし「うちは大丈夫!!」と思われている方も一度相談されることをお勧めします。