法制審議会の民法(相続関係)部会では、配偶者の相続分の見直しや自筆証書遺言の方式緩和などの民法改正について中間試案をまとめ、平成28年7月12日(火)から9月30日(金)までパブリックコメント(意見公募)を実施中です。
パブリックコメントとは、行政機関が政令や省令などを決めようとする際に、あらかじめその案を公表し、広く国民から意見、情報を募集する手続きです。法務省は、パブリックコメントの結果も踏まえて成案を作成し、平成29年中に改正法案の国会提出を目指す考えのようです。
相続法制については、昭和55年に配偶者の法定相続分の引上げ(3分の1から2分の1へ)や寄与分制度の創設等の見直しがされて以来、実質的な見直しがされていません。その間、高齢化社会の進行で、家族の在り方に関する国民意識にも変化が見られることから、国民の意識や実情に即して相続法制を見直す必要があるとして、平成27年4月から審議が行われてきたのです。
今回の中間試案の概要(主なもの)は以下の通りです。
①配偶者の居住権を保護するための方策の新設
・被相続人の配偶者が相続開始の時に被相続人所有の建物に居住していた場合には、遺産分割によりその建物の承継者が確定するまでの間、配偶者は引き続き無償でその建物を使用することができるものとする。また、当該建物が遺言などにより配偶者以外の者に承継された場合でも、配偶者は相続開始から一定期間(例えば6ヶ月間)はその建物を無償で使用することができるものとする。
・「終身又は一定期間、配偶者に居住用建物の使用を認める権利」を創設し、遺産分割における選択肢の一つとして配偶者にその権利を取得させることができるものとするほか、遺言で配偶者にその権利を取得させることができるものとする
②配偶者の法定相続分の見直し
婚姻期間が長期間にわたる場合など、被相続人の財産の形成に対する配偶者の貢献が大きいと考えられる場合に、配偶者の相続分を増加させるものとする。
③遺言制度に関する見直し
・自筆証書遺言の方式を緩和し、例えば遺言書の末尾に添付されることが多い遺産目録については自書でなくてもよい(パソコンなどによる作成や代筆もOK)とする。
・自筆証書遺言の保管制度を新設する(遺言保管機関を設ける)
④相続人以外の者の貢献を考慮するための方策の新設
相続人以外の者が被相続人の療養看護等を行った場合には、一定要件のもので、相続人に対して金銭請求をすることができるようにする。
☆法務省HP「民法(相続関係)等の改正に関する中間試案」に関する意見募集☆
本件に関して意見のある方は、法務省のホームページにて詳細をご確認の上で意見を送ってみては如何でしょうか。もしかしたら、あなたの意見が改正法案に反映されるかも!?
http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=300080149&Mode=0