皆様、土地家屋調査士という国家資格をご存じでしょうか?土地家屋調査士とは、不動産の登記簿(登記記録)の「表題部」の新設、変更・更正、閉鎖等の代理申請を行う土地建物の表示登記の専門家です。
「隣の土地の所有者の所在が不明で困っています」というご質問は普段から多く受けます。法務局で隣の土地の登記簿を取得すれば所有者の住所氏名は分かるのですが、
●登記簿に載っている人がおそらく亡くなっていて、相続人が不明。
●登記簿に載っている所有者の住所地に行っても、関係者が住んでいない。
●登記簿に載っている所有者の住所地が遠方で、連絡先が分からず手紙を出しても返事がない。
など、登記簿に載っている所有者とコンタクトが取れなくて困る場合があります。
困る場合とは
●土地を売却するために境界の確認をしたいが、隣接所有者が所在不明で確認が出来ずに困っている。
●土地を相続したので、兄弟で土地を分筆して分け合おうとしているが、境界の立会が出来ないため分筆登記が出来ずに困っている。
●隣が空き家になっていて、草刈りもされず放置状態になっていて困っている。
●自宅の前の道路部分が所有者所在不明の個人名義になっていて、自宅の土地が公道に面しておらず再建築が出来ない状態になっていて困っている。
など、様々です。
現在日本では、この問題が社会問題となってきています。近年、東北の復興の際に所有者不明土地が公共事業などの足かせになり、迅速な復興の妨げになったことや、「空き家問題」などが、国民の生活に支障をきたす大きな原因になるとの認識が高まってきています。法務省は研究会を立ち上げ実態把握、問題解決を模索し始めています。そこで平成29年6月に発表された推計では、所有者不明の可能性のある土地は全国で410万ヘクタール以上あるのではないかとの見方が示されました。なんと、これは九州よりも広い面積です。
我々土地家屋調査士にとっては、境界確認や土地分筆登記、建物滅失登記の時などに、この所有者不明の問題が業務の妨げになることがあり、その割合は年々多くなってきている実感があります。
近い将来相続財産の売却、分筆などをお考えであればお近くの土地家屋調査士に早めにご相談されることをお勧めします。