平成30年3月13日、民法の相続に該当する部分の改正法案が国会に提出されました。今後成立すれば、民法で規定されている相続のルールが一部変更されることになります。
改正法案の主な内容としては、①自筆証書遺言の方式緩和、②配偶者の権利保護、③遺留分制度の見直しです。
相続法改正のポイントについて、数回にわたってご説明していきたいと考えております。今回は、第一弾として、「自筆証書遺言の方式緩和」についてお話ししたいと思います。
自筆証書遺言とは、遺言者がその全文・日付・氏名を自署し、押印することによって作成される遺言のことです。主な改正点としては以下の3点です。
一、自筆証書遺言の方式の緩和
財産目録の作成はとても煩雑で時間のかかるものですが、本改正により、パソコンで財産目録を作成できるようになると、手書きの面倒臭さが減り、記載内容の不備により無効となる危険も減ることでしょう。
二、法務局による遺言書の保管制度の創設
三、検認手続きの省略
検認手続とは、家庭裁判所が相続人立会いのもとで、遺言書を開封し、遺言書の内容を確認することです。相続人に対し、遺言の内容を知らせるとともに、後日偽造や変造が出来ないように内容を明確にすることを目的とした手続きです。
まとめ
今回の法改正が実現すれば、自筆証書遺言の記載内容の不備や紛失、偽造等のおそれが大幅に減り、保管場所が確保され、検認手続も不要となることから、今後自筆証書遺言の利便性は格段に向上することが考えられます。
また、財産目録の作成がパソコン等でできるようになることにより、財産目録の作成を専門家に委託することも可能になります。
★相続法改正シリーズは、以下②③④もぜひ参考になさってください。
②配偶者の権利保護
③遺留分制度の見直し
④預貯金の仮払い制度