国税庁は7月1日、相続税や贈与税の算定基準となる2019年(令和元年)の路線価を発表しました。路線価は、毎年1月1日を評価時点として、地価公示価格等を基として算定した価格の80%により評価したものです。
今年の路線価の全国の平均変動率は、昨年比1.3%の上昇(前年は0.7%の上昇)です。変動率の調査を開始した1992年以降、初めて4年連続で上昇しました。
都道府県庁所在都市の最高路線価の上昇率が最も高かったのは、那覇市の39.2%。京都・大阪・神戸・熊本の各市の最高路線価は20%以上の上昇、札幌・仙台・福島・さいたま・横浜・名古屋・奈良・福岡・大分の最高路線価も10%以上の上昇です。逆に、唯一の下落となったのは鳥取市の▲4.5%でした。
なお、税務署別の最高路線価で上昇率が最も高かったのは、北海道倶知安町山田の道道ニセコ高原比羅夫線通り(前年比50.0%上昇)。世界的なスキーリゾート地で、5年連続の上昇率トップとなりました。
都道府県別では、上昇したのが19都道府県で、上昇率トップは2年連続で沖縄県(8.3%)。外国人観光客の増加や再開発等により、那覇市を中心に大幅上昇しました。その他では、東京都(4.9%)や宮城県(4.4%)が4%超の上昇率でした。
反対に下落したのは、福井(▲1.4%)・和歌山(▲1.3%)など27県でした。「大都市圏や観光地」と「それ以外」との二極化傾向が続いているといえます。
路線価トップは、34年連続となった東京都中央区銀座五丁目の鳩居堂前で、前年比2.9%上昇の4,560万円/㎡(1億5,074万円/坪)。路線価のバブルピークが1992年(平成4年)で、このときの同地点の路線価が3,650万円/㎡(1億2,066万円/坪)でしたが、一昨年にこれを抜き、今年で3年連続過去最高金額を更新です。
なお、路線価全国第2位は大阪市北区角田町の御堂筋で1,600万円/㎡(前年比27.4%上昇)、第3位は横浜市西区南幸一丁目の横浜駅西口バスターミナル前通りで1,160万円/㎡(前年比13.3%上昇)。
福岡県の最高路線価は福岡市中央区天神二丁目の渡辺通りで787万円/㎡。前年比12.4%のプラスで、4年連続10%以上の上昇を続けてきたことになります。同じ福岡市内でみれば、東区千早四丁目の千早並木通りがプラス18.2%と最も上昇率が高く、博多区博多駅前二丁目の住吉通りがプラス16.3%と次いでいます。
自分の持っている土地の全面道路の路線価が上がるということは、自分の土地の価値も上昇ですから本来は嬉しいこと。ただし、その恩恵を受けられるのは実際に売却した場合のみ。逆に、売却せずに持ったまま相続発生なら相続税は増額です。
新路線価は国税庁ホームページで公開されています。ご心配な方はお早めにご確認ください。
■令和元年分都道府県庁所在都市の最高路線価
http://www.nta.go.jp/information/release/kokuzeicho/2019/rosenka/01.htm
■令和元年分税務署管内の最高路線価
http://www.nta.go.jp/about/organization/fukuoka/release/r01/rosenka/beppyo.htm