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自宅の権利関係は大丈夫?

2020.01.10

普段の生活の中で、自宅や実家等の不動産の権利関係を気にすることは、あまりないと思いますが、相続、建替え、売却等の際に、あらためて不動産の登記を確認したところ、様々な問題が発覚することがあります。
代表的な例としては、土地の名義が昔の名義人(祖父)のままだった、というケースが挙げられます。

祖父の亡くなった時期が旧民法(昭和22年頃まで)適用の間の場合は、家督相続と遺産相続の二通りの相続手続きがあり、戸籍謄本に家督相続の旨の記載がある場合は、家督相続人(長男等)による比較的簡易な相続登記手続きができますが、遺産相続の場合は、遺産相続人(遺産相続人が死亡しているときはその相続人)全員の協力が必要となるため、予想以上の人数となり大変な手続きとなることもあります。

 祖父の亡くなった時期が新民法施行後で遺言書がない場合は、相続人全員による遺産分割協議を行うことが一般的ですが、遺産分割協議の前提として全相続人を確定しなければいけません。そのためには、まずは戸籍を収集し、想定外の相続人がいないことを確認することが必要です。

例えば、祖父が養親となる養子縁組をしている場合で、祖父の死亡後にその養子が死亡していると、養子の配偶者のほか、養子の実方の親族も相続人となることがあります。

養子縁組以外でも、古い戸籍謄本を調査することによって、思いもよらない相続人が判明することも稀にあります。

 また、相続人確定のためには、相続放棄を家庭裁判所に申し立てた相続人がいないかを調査することも必要です。

 このように土地の名義が祖父である場合には、仮に父が自筆にて遺言書を作成していたとしても、父の死亡後、その相続人が遺言書に基づき相続登記をする際には、前提となる祖父に関する相続登記の手続きを省略することはできません。

祖父からその相続人(父等)への所有権移転登記を経由した後、父等からその相続人へ所有権移転登記をすることになります。

 なお、公正証書で遺言を作成するときは、公証人役場へ予め登記事項証明書を提出するため、不動産が本人名義かどうかを確認してもらうことができますが、自筆にて遺言を作成するときには、権利関係の確認は自己責任ですので要注意です。

 また、所有権だけでなく、その所有権に付けられた権利(買戻権、抵当権、賃借権等)の存否の確認も重要となります。

 これらの権利が、たとえ消滅しているものであったとしても、その権利を抹消する登記手続きのためには、当該権利の当事者から必要書類の交付を受けなければいけません。

権利消滅後も長期間放置している場合は、当事者の死亡(法人の場合は解散)によって、書類の交付に過分の費用と労力が必要となったり、裁判をしなければ消せない状況となったりすることもあります。

このように、登記に記載された昔の権利関係や名義人の確認は、何かきっかけがないとできないものと思いますが、令和初の元旦を契機として、また、家族のために遺言を書いてみる前提として、一度、法務局で登記事項証明書をとってみられてはいかがでしょうか。

筆者紹介

酒井 謙次
酒井司法書士事務所 所長

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 本業である登記手続きについては勿論のこと、関連知識を必要とする場面においても、弁護士、税理士、土地家屋調査士等の専門家と協力し、迅速かつ丁寧・正確をモットーに、安心してお任せいただけるよう心がけ、不動産の登記(売買、相続、担保設定)および会社法人登記を柱として、専門性の高い業務に努めるとともに、 高齢化社会によって今後増加する成年後見、遺言作成等の業務についても幅広く取り組んでいます。

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