このレポートを作成した2020年11月20日現在、日本での新型コロナウィルス感染者数は12万8356人、死者数は1982人となりました。感染者に占める死亡率の割合は1.5%、全世界では5656万1918人が感染し、135万4780人がお亡くなりになっており、死亡率は2.4%となっております。ちなみに日本でインフルエンザにかかり亡くなる方の割合は0.001%ですので、いかに新型コロナウィルスがすごいかがわかります。
またこの日は全国で2426人が感染し、1日当たりの感染者数は過去最多を更新しました。
死亡者を年齢別にみると、20代が2%、30代が1%、40代が1%、50代が3%、60代が10%、70代が27%、80代以上が59%と60代以上で96%もあります。1年間にお亡くなりになる方が136万人程ですので、コロナウィルスで亡くなる方の割合は1.4%となります。
重症化する割合は、約1.6%(60代以上は8.5%)、死亡する人の割合は約1%(60代以上は5.7%)となり、高齢者の方が重症化したり、死亡する割合が高いという事が分かります。重症化し入院した場合、患者への面会は原則禁止です。重症化した場合には患者は家族に相談することもできず、家族は回復することを待つのみとなります。
つまり感染した場合は無症状のケースもあり自身で考えて相続対策することはできますが、重症化した場合には相続について対策をする事ができません。
そういった状況下でもあるので、当社でも遺言を作りたいと相談に来られる方が増えました。以前から相談されている方で、「いつかは遺言作ろうかな」と言っている方の相談が多いように感じます。心づもりはあるものの作るという意思決定できなかった方が、コロナウィルスを機に作るといった感じです。
しかしまだ相談すらしていない人が、遺言をいきなり作ることは大変難しいです。
まずは自分自身の財産の把握、その財産がいくらになるかの評価、その財産をどのように分けるかの分割案、偏った遺言になった場合には遺留分が発生しますので、遺留分対策。相続税がかかるようであれば支払えるのかの納税資金対策やできる限り支払いを押さえたいなどの相続節税対策等考えないといけないことがたくさんあり、決定までにも半年から1年程かかるケースが多いです。つまり今のうちに考えて遺言を作っておけば、更なる第3波や第4波が訪れたとしても安心です。
今このコロナウィルスの時だからこそ、みなさん自身がコロナウィルスに感染した場合も考え、財産の継ぎ先を決めておきませんか?
その為にも公正証書遺言を作成することをお勧めします。
公証役場で作る公正証書遺言は信頼性と実現性が高い遺言です。コロナウィルスの影響により、メール等でのやり取りが可能で、対面も必要最小限にできます。
また実際の作成においても向かい合わず、距離を空け、できるだけ風通しを良くする配慮をしています。
毎年、約11万人の方が公正証書遺言を作っていますが、65歳以上の人口が3,600万人ほどですので、作成している人の割合は年間0.3%程度とまだ少数です。
感染のリスクを避けるためには自宅にいたいと思う方もいると思いますので、まずは家にあるノートや紙に自分の財産を書いて渡したい相手を書いてみてください。自分自身の財産を計算して相続税がかかるかどうか、もちろん渡した相手が相続税を支払えるかどうかの確認もしてください。もし自分自身でやってみて不安があれば一度当相続サポートセンターに相談してください。もちろん相談は対面に限らず、電話やメールやWeb上でも可能です。
また相続税申告についてですが、今回のコロナウィルスの影響を受けて、申告納税の延長が認められています。例えば相続人がコロナウィルスに感染してしまった方や体調不良で外出を控えている方、感染の拡大を防ぐために外出を控えている方も申告納税の延長が認められております。
いつまでかというと、やむを得ない理由がやんだ日から2ヶ月以内となっています。そしてその申告方法については通常の申告書の余白に「新型コロナウィルスによる申告・納付期限延長申請」と書けばいいという事だそうです。相続が発生して、相続税の納付期限が迫っている方はご安心ください。
さて話は遺言に戻りますが、遺言を作るときに一番大切なのは付言事項を残すことです。付言とは遺言書の最後に書くことができる言葉です。好きな内容を文章で書くことができますし、文字数の制限もありません。
できたらこの付言に自らの財産を渡す子供たち等の家族に対する思いと、今までご自分を育ててくれたご両親に対する思いも書いてもらえたらと思います。みなさんが自分の人生をどう生きてきたのかを振り返るいい機会にされてはいかがでしょうか?
みなさん自分の生まれてからの人生について、奥さまやお子様にゆっくりと伝える機会は少ないと思います。ぜひその思いを遺言というものに残すことができればそれはたぶん先の代まで続いていく自分史になるのではないでしょうか。
コロナウィルスというとても世界的に大変な困難の中ではありますが、この機会をご自分の人生の振り返りの機会にしてもらえるといいのではないかと思います。