結婚・出産などのイベントにはお金がつきものです。場合によっては、親兄弟・祖父母・叔父叔母などからお金を包んでもらうことも多いと思います。一般的には、タダで得をした人に対して贈与税がかかります。しかし、お祝いごとについては非課税とされる傾向にあります。
前提条件として次の4つがあります。
① 扶養義務者相互間の生活費等の贈与は非課税
(解説) 扶養義務者とは、一般的なイメージでの家族の範囲と同じと思っていただいて結構です。家族間での生活費や学費の補填、生活必需品などの購入費用を融通したとしても贈与税が生じません。
② 通常の範囲内でのご祝儀などは非課税
③ お釣りが出たら課税
(解説) 例えば、300万円の結婚式の費用として500万円を親からもらって、200万円の貯蓄ができたとします。この場合の200万円については贈与税の対象となります。
④ 相場を大きく超えたら課税
(解説) ご祝儀に3,000万円包んだ、ソファーと机に1,000万円かけた、などと相場から大きく逸脱する金額はダメです。
どんなものが非課税になるか、時系列に沿って見ていきましょう。
1.「後は若い二人に任せて」・・・結納金
結婚に際しての結納金は、前提条件②により非課税となります。結納金の返戻として男性側に半額程度の時計やスーツが贈られることもありますが、こちらも同様に非課税となります。
2.「永遠の愛を誓います」・・・結婚式の費用
通常は、夫婦がご祝儀をもらってその中から結婚式の費用を出すことが多いと思います。親の社会的地位や土地の風習によっては、やむを得ず親が結婚式の費用を出すこともあるでしょう。この場合は非課税となります。近年では、「結婚・子育て資金の一括贈与」もあります。こちらは文句なしに300万円までの結婚式の費用が非課税となります。
3.「二人の愛の巣へ」・・・引越費用
引っ越しは通常の生活の中での費用なので、前提条件①が該当します。
4.「嫁入り道具はトラック1台」・・・家具購入費用
一般家庭にあるのと同様の家具であれば、前提条件①が該当します。
5.お産は十人十色」・・・出産・入院費用
出産に際し長期の入院となったり緊急手術になったりすることがあります。このような場合の治療費を補填するのは前提条件①により非課税となります。但し、入院保険金などがあって、お釣りが出てしまうと贈与と見られるかもしれません。また、見舞金であれば前提条件②により非課税となります。
6.「案ずるより産むが易し」・・・出産祝い
出産祝いは前提条件②により非課税となります。
7.「お年玉はお母さんが預かっておくからね!」・・・お年玉
お年玉は前提条件②により非課税となります。節句や七五三、誕生日などのお祝いも同様です。
8.「ようやく一国一城の主に」・・・家など高額資産の購入
高額な資産については贈与税の対象となります。これまで例と違って「モノ」として残り、市場があり換金することが可能だからです。車や貴金属なども同様です。高額な資産については夫婦のお金又はローンで買いましょう。どうしても贈与したい場合は、「住宅取得等資金の贈与税の非課税」で最大1,500万円が非課税となります。諸条件あるのでご注意ください。
国としては人口が増えた方が年金問題や税収の面で有利なので、結婚や子育てについては税制上も優遇されています。私自身も執筆時点で結婚生活5年3ヶ月目かつ夫婦喧嘩4日目ですが、結婚して良かったと心から思っています。
また、最近では同性の夫婦や事実婚や子どもを作らない夫婦など様々な夫婦の形態があります。所得税は古典的な夫婦を想定して条文が作られておりますが、相続税ではそのあたり制限が少ないので多様性に配慮した法律となっております。