1 はじめに
日々、お客様より相続にまつわる様々なご相談をお受けしています。その中で、ご相談者に共通している部分がありますので、お話させて頂きたいと思います。
2 早く取り掛かること
相続の相談というと、中々重い腰が上がらず先延ばしにする方も多いのではないでしょうか。「まだ元気だから」とか「今は考えたくないから」等、理由は様々です。
ご相談に来られる方には何かしらのきっかけがあります。その多くは、「最近、体調が優れなくなった」「物忘れが多くなった」「身内に不幸があった」等、少し差し迫った理由が大半です。
実際に相続の相談を経て対策を進めていく中では、気力・体力・判断能力が必要なことも多く「こんなに大変なのであれば、もっと早く相談に来れば良かった」という方も多くおられます。
例えば、これまで相続対策でよく活用されていた暦年贈与について、税制改正により相続税との一体課税の方針が発表されています。まだ内容は確定しておりませんが、相続財産に持ち戻される生前贈与の期間が、「亡くなる3年以内の贈与」から「亡くなる10年から15年以内の贈与」に拡大される可能性もあると言われています。これはドイツやフランスと同様の期間となります。従って、生前贈与を検討されている方や、すでに実行されている方にとっては、ますます時間をかけて相続対策を行うことが重要になります。
また、ご年齢によっては取り得る対策が制限されることもある為、相続対策においてはとにかく「早く取り掛かること」が肝要です。
3 時間が解決しないことがある
相続対策において、時間の経過によって解決に至るのが難しくなるケースがあります。
例えば、相続発生後の遺産分割において相続人同士の話し合いがまとまらない事例があります。時間が経てばそのうち解決するだろうと、そのまま放置すると徐々に当時の記憶が薄れ、場合によっては相続人の中に認知症を発症する方が出てきます。このままの状態で相続が発生すると利害関係者が更に増えることになります。当事者ならまだしも次の世代にしてみれば、当時の事情が分からずなぜ揉めているのかすら分からない状態になります。結果、利害関係者が増えることにより更に協議が困難となります。
4 実際に行動に移す
ご相談をお受けし、まずはこの対策から進めて行きましょう。と対策の方針がまとまります。しかし、そのまま行動に移らない方もおられます。事情があり難しいケースもありますが、大半の理由が面倒や手間に感じてしまい行動に移らないケースです。その場合、数年経っても実行に移せず状況が進展しないことも多く見受けます。
まずは、方針を決めたら出来ることからで良いので一つ実行に移してみる。そして次に出来ることを実行する。その繰り返しが重要になります。
5 まとめ
思い立ったが吉日。私が日々お受けするご相談の中で強く感じることです。「相続対策をしなければ」と身構えず、まずは気軽に専門家に相談をして現状の把握を行いましょう。そして、一つでも良いので実行に移すことで次の課題が見つかります。一歩ずつ着実に進むことでいつか必ず解決に向かいます。
お客様自身のこれまでの歴史はお客様にしか分かりません。十人十色の相続対策ですが、時間はみな平等に与えられています。本レポートがみなさまの相続対策を考えるきっかけになりましたら幸いです。まずは一つ行動に移してみましょう。