国税庁は7月1日、相続税や贈与税の算定基準となる2022年(令和4年)の路線価を発表しました。
路線価は、毎年1月1日を評価時点として、地価公示価格等を基に算定した価格の80%により評価したものです。
今年の路線価の全国平均変動率は、前年比プラス0.5%(前年は▲0.5%の下落)と2年ぶりに上昇に転じました。
都道府県別では、前年より上昇したのが20都道府県。上昇率トップは北海道で、前年比4.0%のプラス。再開発が進む札幌市の伸びが大きく寄与した形となりました。
次いで、「天神ビックバン」と呼ばれる福岡市中心部の大型再開発が進む福岡県がプラス3.6%の上昇。福岡県は昨年の上昇率全国1位からは惜しくも陥落しましたが、これで7年連続の上昇となりました。その後に、宮城県(2.9%)、沖縄県(1.6%)と続いています。
下落したのは27県(前年は39府県)。
下落率が最大だったのは和歌山県で前年比▲1.3%。次いで、愛媛県(▲1.1%)、群馬県(▲1.0%)の順となっています。
四国4県は2年連続の下落、東北地方も全6県のうち4県が下落でした。
都道府県庁所在地別でみると、最高路線価が上昇したのは横浜・名古屋・京都など15都市で、前年の8都市からほぼ倍増しました。最高路線価の上昇率が最も高かったのは千葉市中央区富士見2丁目千葉駅前大通りで、千葉駅周辺の再開発が要因となって前年比5.1%のプラス。
2位は札幌市中央区北5条西3丁目 札幌停車場線通りのプラス4.8%、3位は広島市中区胡町 相生通りのプラス3.5%。
逆に、最高路線価が下落となったのは、前年の22都市から今年は16都市と減少しました。
下落率トップは神戸市中央区三宮町1丁目 三宮センター街で、前年比▲5.8%でした。
税務署別の最高路線価で上昇率が最も高かったのは、長野県北安曇郡白馬村大字北城 村道和田野線で、20.0%上昇しました。コロナ禍によるテレワークの浸透で首都圏等から移住する人が増加しているためではないかと考えられます。
路線価トップは、37年連続となった東京都中央区銀座5丁目銀座中央通りの鳩居堂前で4,224万円/㎡(1億3,964万円/坪)でしたが、それでも前年比▲1.1%。
4年連続で過去最高金額を更新した後、これで2年連続の下落となりました。
路線価全国第2位は大阪市北区角田町の御堂筋で1,896万円/㎡(▲4.0%)ですが、こちらも2年連続の下落。第3位は横浜市西区南幸1丁目の横浜駅西口バスターミナル前通りで、1,656万円/㎡(プラス3.0%)でした。
九州でプラスとなったのは、上昇率全国第2位の福岡(前年比プラス3.6%)を筆頭に、沖縄(1.6%)、佐賀(1.1%)、熊本(0.6%)、長崎(0.5%)、大分(0.1%)の6県。
下落は鹿児島(▲0.6%)・宮﨑(▲0.4%)の2県で、鹿児島は昨年に続いて下落率トップでした。
福岡県の最高路線価は、福岡市中央区天神2丁目の渡辺通りで880万円/㎡。
5年連続で10%以上の上昇を続けた後、2年連続で±0%となりました。路線価第2位は福岡市博多区博多駅前2丁目の住吉通りで725万円/㎡(前年比プラス0.8%)。
近年、博多が天神との差を徐々に詰めてきていましたが、その勢いもここにきて鈍化した感じです。なお、福岡県内の今年の上昇率トップは昨年に続いて福岡市早良区西新4丁目明治通り(前年比プラス14.8%)で、次いで同東区千早4丁目の千早並木通り(12.0%)でした。
路線価の全国平均変動率が上昇したのは、新型コロナウィルスの影響が薄まったことが大きな要因であることは間違いありません。
一方で、インバウンド(訪日外国人客)の需要はまだ回復途上であるため、その影響が大きかった観光地や商業地では依然として下落が続いているようです。
路線価が発表されるこの時期に、毎年、概算相続税のシミュレーションを行いましょう。
路線価が変われば土地の評価額が変わり、相続税額も変わります。それによって、相続対策の見直しが必要になることも十分あります。
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・令和4年福岡国税局各税務署管内の最高路線価
・令和4年分 都道府県庁所在都市の最高路線価