今年の路線価の全国平均変動率は前年比プラス1.5%と、2年連続の上昇となりました。特に上がったのは、再開発が進んでいる地区と観光地や商業地です。新型コロナに伴う行動制限や入国制限が緩和されて商業活動が活発になっていることや、インバウンド需要の高まりなどが背景にあると考えられます。一方で、東京都心では横ばいや僅かな上昇にとどまっています。これは、供給過多やリモートワークの普及などによりオフィスビルの空室が増加したり賃料が下落したりしていることが要因といえるでしょう。
都道府県別では前年より上昇したのが25都道府県ありました。上昇率トップは昨年と同じく北海道で、前年比プラス6.8%。再開発が進む札幌市の伸びが大きく寄与した形です。次いで、「天神ビックバン」と呼ばれる福岡市中心部の大型再開発が進む福岡県がプラス4.5%の上昇。福岡県の上昇率は「一昨年全国1位→昨年2位→今年2位」で、これで8年連続の上昇となりました。上昇率3位は宮城県(4.4%)、4位は沖縄県(3.6%)と続き、これも前年と同順位となっています。
前年から下落したのは20県でした。下落率が最大だったのは前年と同じく和歌山県で、前年比▲1.2%。次いで、福井県(▲1.0%)、愛媛県(▲0.9%)の順となっています。四国は、3年連続で4県全てが下落しました。全6県のうち前年4県が下落だった東北は、今年は青森県だけが下落(▲0.3%)となりました。なお、前年から変動がなかったのは、長野県と滋賀県の2県でした。
都道府県庁所在都市別でみると、最高路線価が上昇したのは29都市で、前年の15都市からほぼ倍増しました。最高路線価の上昇率が最も高かったのは再開発の影響を受けた岡山市北区本町の市役所筋で、9.3%の上昇でした。2位は札幌市中央区北5条西3丁目の札幌停車場線通りで、プラス8.4%、3位はさいたま市大宮区桜木町2丁目の大宮駅西口駅前ロータリーで、プラス8.0%となりました。逆に、最高路線価が下落となったのは、前年の16都市から今年は4都市と激減しました。下落率トップは鳥取市栄町の若桜街道通りで、前年比▲3.0%でした。
税務署別の最高路線価で上昇率が最も高かったのは、福岡県久留米市東町の西鉄久留米駅前通りで、前年比19.1%の上昇。福岡市に通勤・通学がしやすく、マンション用地の需要が堅調なのが要因と考えられます。次いで、上昇率第2位は熊本県菊陽町光の森3丁目の県道住吉熊本線で、前年比19.0%の上昇でした。台湾の半導体大手TSMCの進出とそれに伴う関連企業の用地確保が最大の要因です。第3位は、昨年第1位だった長野県北安曇郡白馬村大字北城の村道和田野線でプラス16.7%でした。
全国の路線価トップは、38年連続となった東京都中央区銀座5丁目銀座中央通りの鳩居堂前で4,272万円/㎡(1億4,122万円/坪)。3年ぶりの上昇となりました。第2位は、2年連続の下落からプラスに転じた大阪市北区角田町の御堂筋で1,920万円/㎡。第3位は横浜市西区南幸1丁目の横浜駅西口バスターミナル前通りで、1,680万円/㎡でした。
福岡県内の税務署別の最高路線価は、トップが福岡市中央区天神2丁目の渡辺通りで904万円/㎡。第2位は福岡市博多区博多駅前2丁目の住吉通りで729万円/㎡。ただし、いずれも緩やかな上昇に留まっています。
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令和5年分都道府県庁所在都市の最高路線価